第三者が内縁を破壊 その第三者に対する責任追及について
- 2016.01.03 Sunday
- 18:50
今回は内縁関係が第三者によって破壊・破綻させられた場合、その者に対し責任が追及できるかについてお話しします。
※「内縁とは何か」については内縁と同棲と愛人関係の違いを参照のこと
内縁関係は「準婚関係(婚姻に準ずる関係)」として、本人は一方の当事者(相手)に対してのみならず、第三者に対しても保護されています。
“保護されます”というのは、第三者(例えば相手の親や身内)が内縁関係を破壊した場合、本人は保護され、その第三者に対して責任追及ができるということです。責任追及の方法は多くの場合、慰謝料請求を行うことです。
いくつか判例をご紹介します。
【最高裁.昭和38年2月1日判決】
『内縁の当事者でない者であっても、内縁関係に不当な干渉をしてこれを破たんさせたものは、不法行為者として損害賠償の責任を負う』との判決。
【最高裁.昭和37年10月23日判決】
『内縁関係に不当に干渉し、これを破壊した第三者は、不法行為責任(民法709条)に問われるべきである』との判決。
【大審院.昭和7年10月6日判決】
内縁の夫を殺害した者に対しても損害賠償請求ができる旨の判決。
婚姻届を出していないが夫婦のかたちを備えているのが内縁(事実婚)です。それゆえ多くの判例で第三者の責任を認めているのです。
もちろん必ず責任を追及できるというわけではありません。
そのときの夫婦関係の状況や、第三者の意図や行為の状態など、さまざまな調査のうえで“その裁判や調停を担当した裁判官”が判断することになります。