「過去帳は部外者に見せないで」というニュースに対して
- 2014.05.24 Saturday
- 01:51
先日(2014/5/16)のニュースに 「過去帳は部外者に見せないで 差別懸念、各宗派が周知」 という記事がありました。
記事によれば、
「寺の檀(だん)信徒の戒名(法名)や死亡年月日などを記した“過去帳”について、各宗派が、外部に閲覧させないよう所属寺院に呼びかけている。かつて、被差別部落出身者かどうかを確かめる身元調査に過去帳が利用されているとして閲覧禁止を周知したが、ここ数年、寺外に見せた事例が相次ぎ判明したためだ。」
とあります。
きっかけは、2014年5月に放送されたNHKのバラエティー番組『鶴瓶の家族に乾杯』で、俳優の谷原章介さんのルーツ探しのため「過去帳」を手がかりにするということで、浄土真宗本願寺派のお寺を訪ね閲覧を求め、住職が明治年間の「門徒明細簿」や「門徒戸数控」などの記録を開示する様子が放送されたものです。
かつて被差別部落の人の戒名に「賤」「隷」「畜」といった文字をあてて過去帳に記したり、被差別部落の人だけの過去帳が作られたりしたことがあったため、部落解放同盟から、「なぜ今回の問題がおきたのかの分析からはじめ、総点検をおこなう必要がある」ことを本願寺派に指摘して、差別の現実と向き合うなかで、教団全体の課題としてとりくみをすすめるよう求めました。
本願寺派はNHKに「お寺に行けば誰でも過去帳が閲覧できて、情報を得ることができると思わせた責任が大きく今回の放送が与えた影響は少なくない」と指摘し、NHK側は再放送の取りやめや今後の制作現場への周知を行い、本願寺派は、今回の閲覧禁止の周知、と至りました。
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私も家系図作成・先祖調査の業務を行っており、全国さまざまな宗派のお寺を訪ねています。
私は行政書士という国家資格者で、特に個人情報の取扱い遵守を法律で課されています。
そのため、住職にも多少は受け入れてくれやすくはなっていると感じています。
過去帳は一級の個人情報ですので、住職の対応はそれぞれです。
話し方や進め方はとても気をつけています。無理も言いません。
お寺では、真摯に先祖を敬う依頼人のお話しをして、住職が理解してくれた場合に限って過去帳を見せて頂いています。だいたい5人に4人の住職は見せていただけます。
特に檀家である本家筋の口添えがあればほぼ協力して頂けます。
これまで数百冊の過去帳を確認してきました。
ただいきなり「過去帳を見たい」と言ってお寺を訪ねる人は、結構大勢いるようです。
残念ながら悪質な業者(お金儲けのための家系図作成業者)もいて、以前、警戒されて、門前払いとなったことがあります。
しかし、多くの場合、対面して住職とお話が出来れば(特に住職は一瞬で相手を見抜きますので)、ほぼ受け入れて頂いています。
嘘なく誠実な対応を心掛けていかないといけないと、今回のニュースを見て改めて思いました。