保証人の夫にきた請求、妻に支払う義務はある?

  • 2008.12.25 Thursday
  • 22:18

こんな事例があります。

夫が連帯保証人
500万円)になっていた友人が行方不明に(多分逃げたと思われる)。
夫に請求がきたが、その夫の会社も倒産。払えない状況。
取立人が来て、パートで働く妻に「夫婦なんだから夫の代わりに払ってくれ」と言われた場合、妻は払う義務はあるのか。

まず結論!

「代わりに払う義務はありません」

債権者と保証契約を結んだのは夫ですので、妻とは一切関係ありません。代わりに払う必要はありません。

(それを知ってる)取立て人は、

「一部だけでもいいですから返済してくれませんか」
「来月の給料が出てからでいいですから」
「夫婦連帯責任ですから、奥さんが払うのは当然
 なんですよ」

とか、いろいろ言ってきます。

これに対して

「分かりました」
「今度給料が出るまで待ってください」
「少しだけなら払えます」

などと言ってはいけません。

こういうことを言うと、保証を追認したことになり保証義務が発生する可能性が発生してしまいます。
繰返しですが、取立人も録音していることもあります。
是非、注意してください。

しかし、
以上はあくまで法的な話です。
夫に債務があることは変わりません。

結局、家庭内で奥さんにもしわ寄せがくるでしょう。
この不況の時代、保証人はなるものではありません。

口約束で引き受けた保証はどうなる?

  • 2008.12.22 Monday
  • 22:11

 

 

口約束でうっかり保証人を引き受けてしまった場合、その人がお金を返済できず、突然、サラ金などから「金を払え」と言われたとき、払わないといけないか?

民法の原則は、契約は当事者の意思が合致すれば成立します。これは、口約束でも同じです。

合意書、覚え書や契約書などの書面がなくても、口約束(例えば録音や証人がいれば、「確実な約束」)であれば約束の義務は果たさないといけない

と言うのが、民法の原則です。

ただし、保証の約束は、ときに予想外に大きな負担をおう可能性があることから、平成16年の「民法改正」(平成1741日施行)で、

「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」

という条文(第446条第2項))が加えられました。

つまり、この日(平成成1741日)を境に、扱いが異なります。

保証人になる口約束が、平成1741日以降であれば「書面がないので、その口約束は効力を生じません」

平成1741日より前であれば「書面がなくても、確実な約束なら効力を生じる」ことになります。

確実な約束については、

裁判で争いになった場合に、その証拠の存在、尋問などで慎重な判断がなされます。

いずれにしても、昔も今も保証人になる場合、慎重に考えないといけません。

保証人の地位は相続するか

  • 2008.12.19 Friday
  • 00:21

昨日のブログで借金の相続をしたくない場合について書きました。

では、こういう場合はどうでしょうか。

例えば、父親がある人の1,000万円の債務の保証人になっていたことが、亡くなってから分かった。


結論から言うと、1,000万円の保証人としての地位も相続しなければなりません。

「自分のまったく知らない人が、勝手に借りて使ったお金を、なんで自分が返してやらないといけないんだ。
そんな準備してない。」と思うでしょう。
しかし、それが相続です。このような債務も、財産的なものですので、民法の原則どおり相続することになります。

ですので、相続財産は債権も債務も十分にしてから、相続するかしないか決めることが大切です。

そして、「残念ながら相続が割りに合わない」としたら相続を放棄するか、相続人全員で限定承認するか、検討すべきでしょう。

ちなみに、保証契約でも、具体的な債務が確定していない「身元保証」や「限度額や保証期間が決まっていない債務の保証」は、相続人に予測できない責任を生じる可能性があることから、相続はされません。

家族には言わないで保証人になっているケースって、結構あると思います。日頃から親族間のコミュニケーションはよくしておかないといけません。

借金を相続したくないときは

  • 2008.12.18 Thursday
  • 00:16

相続では、被相続人(亡くなった人)の財産上の権利義務一切を相続します。ですので、借金があれば当然に相続します。

しかし、自分に関係ない借金に突然苦しめられてはたまったものではありません。

民法は、借金を払わないで済ます方法として2つの制度を設けています。

1.相続を放棄する

放棄すれば始めから相続人とならなかったことになります。
留意点としては、相続財産を十分に調査してからでないと、借金はあったが実はそれを上回る財産(資産)があったとならないことです。
ちなみに、自分が受取人になった「生命保険金」や「退職金」は、相続ではないので受け取れます。
ただし、この分は相続ではなく贈与税がかかります。

2.限定承認をする

借金の方が多ければ、相続財産の範囲内で返せばよく借金を清算して残りが出ればそれを相続できます。
留意点としては、相続人が何人かいる場合は、全員で限定承認をしないといけない点です。

どちらも家庭裁判所に申述します。

細かい決まりごとを挙げればいろいろありますが、この不景気の中、借金を相続することになった方は、一度ご相談ください。

特定商取引法改正「オプトイン規制」へ

  • 2008.12.05 Friday
  • 23:54

以前のブログ(200885日)で、消費者関連法の改正案について触れました。

今年から来年にかけて、特定商取引法と割賦販売法でかなり大きな改正があります。

消費者保護を支援する私にとっては、待ち望んでいる改正です。

この改正のうちの一部「迷惑メール関係」の法改正の施行が、いち早くこの121日からなされました。

何かと言うと、

『オプトアウト規制』から『オプトイン規制』

への規制強化です。

今までの『オプトアウト規制』というのは、電子メール広告が送られてきて、メールの受け手が、その販売業者に対し、今後のメール受信は不要なので停止する旨の意思表示をすれば、その後のメール配信が禁じられるというものです。
つまり、広告メールが送られて、後から「要らない」ということです。

新たな『オプトイン規制』とは、事前に広告メールの送信の同意を明らかにした者に対してだけにしか、広告メールを送ってはいけない、ことをいいます。
つまり、広告メールを受けてもいいと、最初に承諾しない限り、販売業者は広告メールを送ってはいけないというものです。


事例が、経済通産省の通達で出ていますので、抜粋で紹介します。

商品を買ったショッピングサイト上などで、今後広告メールを受けることの承諾をする場合。

【問題ないケース】
いわゆるデフォルト・オン方式(「広告メールの送信を希望する」にあらかじめチェックが付されている方式)は認めらていますが、その場合、その表示が、画面の中で認識しやすいように明示(例えば、全体が白色系の画面であれば、赤字(対面色)で表示)されてかつ最終的な申込みボタンの近くに、そのチェックがあること

【規制対象となるケース】
膨大な画面をスクロールしないと広告メールの送信についての承諾の表示にたどり着けない。
画面の途中に小さい文字で記述されている。
よほど注意しない限り見落としやすい。
というようなケース

広告メールがそのサイトの業者だけでなく、関連サイトや提携する会社からも送られることを承諾する場合。

【問題ないケース】
あるサイトでの広告の承諾のクリックが、関連するサイトからのメール広告を受けることの承諾にもなる場合は、それが分かり易いように明示(例えば、
全体が白色系の画面であれば、赤字(対面色)で表示)され、かつ、関連サイトのホームページアドレスだけでなく、その関連サイトのカテゴリー情報やサイト名または送信者名を併記するなどして、それらのサイトがどのような内容のものか具体的に分かるように表示されていること

【規制対象となるケース】
その関連サイトが、単に姉妹サイト一覧と表示されているだけであったり、そのURLをクリックしないとどんななサイトかが分からないケース。
そのアドレスから想定される内容が実際の内容と全く異なっており(いわゆるアダルトサイトなど)、表示からは想定されないようなところからの広告メールを承諾したことになってしまうこと

広告メール受信することになった後で、配信の停止を、広告メール本文の中で表示する場合。

【問題ないケース】
配信を停止するためのメールアドレスやURLを、メール本文の最前部に表示している。
もしくは、メールの末尾に表示している。
メール末尾の場合は、ある程度のスクロール操作で表示され、分かり易く表示してある、というようなケース。

【規制対象になるケース】
膨大な画面をスクロールしないと配信停止の表示にたどり着けない。
文中に紛れ込んでいて見分けがつかない。
よほどの注意を払わない限り、認識できないような表示となっている、ようなケース。

これらの規制の違反があまりにひどい場合は、その業者は、業務の全部または一部が停止となる可能性があります。

よく、ショッピングサイトなどで懸賞に応募したり、ポイント獲得のためのクリックにより、提携サイトの広告を承諾したことになって、膨大な広告メールを受けることになる、ということがあります。

現在のネットショッピングサイトやメールで広告している業者は、早々にその画面やシステムを修正する必要があります。

ウェブ技術者たちは、かなり忙しい日々になるのではないでしょうか。


民法(債権法)の大改正 「債務不履行について」

  • 2008.12.04 Thursday
  • 23:51

20081110日のブログで書いた、民法(債権法)の大改正ですが、今回は「債務不履行責任」について少し書きます。

債務不履行とは

「債務者が正当な理由がないのに債務の履行をその内容どおりにしないこと」

をいいます。

民法では、債務不履行責任について

「履行遅滞」
「履行不能」
「不完全履行」

3つの類型に分類しています。

「履行遅滞」とは、債務者がその債務を履行できるのにもかかわらず、債務者の帰責事由により、かつ正当な理由がなく、履行期限までに債務を履行しなかった場合をいいます。

「履行不能」とは、契約締結時には履行可能であった債務が、その後に債務者の帰責事由によって履行が不可能となった場合をいいます。

「不完全履行」とは、債務者から履行期に債務の履行はあったが、それが不完全だった場合をいいます。不足があったなどです。

帰責事由とは債務者に故意または過失による法的責任があること、をいいます。

債務不履行に対しては「損害賠償請求権」や「解除権」が発生するわけですが、この3つの類型で、その発生に共通の要件があったり、特有の要件があったりします。

民法改正の検討委員会では、これを統一化して理解するべきであると指摘しています。

例えば、債務不履行に基づく解除の要件について履行不能の場合でも債務者の責めに帰すべき事由の有無にかかわりなく、「重大な不履行」があったことで解除の要件とする、が提案されています。

また、債務不履行に基づく損害賠償請求権の要件について、民法上は、上記のとおり「債務者の帰責事由による」、つまり「債務者の故意または過失による」不履行であることが必要とされていましたが客観的な不履行の事実があれば、損害賠償請求権は発生すると、提案されています。

また、「契約において債務者が引き受けていなかった事由」によって債務不履行が生じた場合には損害賠償責任を免除するという、考え方も提案されています。

この債権法の改正については、弊所の業務にもかなり係わりますので、来年発表が予定されている改正試案に注目しています。

「公益認定」への気になる点

  • 2008.12.04 Thursday
  • 00:12

新公益法人の業務の準備を進めていますが、何となく気になることがあります。

先日のブログで、「一般社団法人・一般財団法人」は準則主義、いわゆる登記だけで設立できると書きました。

それはその通りですが、より信用力、ステータスや公益性を求め、税制面のメリットを最大享受したい場合は、公益認定というものを受け、「公益社団法人・公益財団法人」を目指します。

一般から公益への格上げとも言えます。
(特に、一般財団法人は、公益財団法人にならないと利子や配当金などに課税されるので財団運営そのものが厳しくなります)

因みに、

一般社団法人・一般財団法人を「1階」
公益社団法人・公益財団法人を「2階」

と言ったりします。

それは、12月以降新たに設立する社団・財団法人は、まず一般社団法人・一般財団法人にならないといけなくて、それから公益認定を受けたい法人は、認定をされて公益社団法人・公益財団法人に格上げされます。
そのため、「1階」「2階」と言ったりするのです。

さらに言うと、この1階と2階の間に「中2階」いうものがあります。

一般社団法人や一般財団法人でも、税制の優遇面からいうと2つに分かれています。

これは非課税/課税の違いです。

できれば、税金は安いほうがいいですね。
まずは「中2階」を目指したいところです。
(ここでは長くなるので説明は省きます)

最初に書いた気になることというのは、

上記のとおり、公益認定という認定を貰うわけですが、それは、「公益認定等委員会」が審議をします。(都道府県では「公益認定等審議会」といいます)

これは、7人(都道府県は3〜6名くらい)の有識者?の方々で構成していますが、

見ると、

審議会メンバーは、どの県でもほとんどが大学教授、弁護士、公認会計士・税理士で構成されています。

民間企業役員を入れている県は一部ありますがごく僅かです。

私は、これは偏りすぎていると思います。

大学教授・弁護士・公認会計士の方々は優秀でしょう。
公益という学問の面から、法律の面から、会計の面から、認定する/しない/取消す、を審議するわけですが、もう少し別のを入れて、多角的に議論すべきだと思います。

別のというのは、例えば地場の民間企業経営者、作家、ジャーナリストなども入れるべきです。あるいはスポーツ出身者や芸能人がいてもいいかもしれません。

各審議会の構成員がどう選ばれ、決められたかは分かりませんが、どこの地域も同じようで、

本当に(有識者会議で謳われた)

『地方の特色の尊重』

『地方自治の尊重』

が図れるのか、

都道府県側は、

『国と同じ審議レベルで考える』と言うが、

上記で言われた
地方の各尊重が進むのかが疑問です。

つまり、もっと各地域で特色を出してもいいのではないか、というのが私の意見です。

認定の法令がガチガチですので、せめて審議する人たちが、柔軟で多面的にいろいろな角度からの見方をする集まりであって欲しいです。

「ある県では公益が認められた」が、「こちらの県では似たような公益は認められなかった」、その逆もあるでしょう。
全国均一でなくても、地域の特色があっていいと私は考えます。

いずれにしても、これから始まるこの公益認定の実態を見ていきたいと思いますし、私が認定申請をすることも今後あるかもしれません。

この点、大いに注目していきたいと思います。

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行政書士萩本勝紀

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