以前のブログ(2008年8月5日)で、消費者関連法の改正案について触れました。
今年から来年にかけて、特定商取引法と割賦販売法でかなり大きな改正があります。
消費者保護を支援する私にとっては、待ち望んでいる改正です。
この改正のうちの一部「迷惑メール関係」の法改正の施行が、いち早くこの12月1日からなされました。
何かと言うと、
『オプトアウト規制』から『オプトイン規制』
への規制強化です。
今までの『オプトアウト規制』というのは、電子メール広告が送られてきて、メールの受け手が、その販売業者に対し、今後のメール受信は不要なので停止する旨の意思表示をすれば、その後のメール配信が禁じられるというものです。
つまり、広告メールが送られて、後から「要らない」ということです。
新たな『オプトイン規制』とは、事前に広告メールの送信の同意を明らかにした者に対してだけにしか、広告メールを送ってはいけない、ことをいいます。
つまり、広告メールを受けてもいいと、最初に承諾しない限り、販売業者は広告メールを送ってはいけないというものです。
事例が、経済通産省の通達で出ていますので、抜粋で紹介します。
■商品を買ったショッピングサイト上などで、今後広告メールを受けることの承諾をする場合。
【問題ないケース】
いわゆるデフォルト・オン方式(「広告メールの送信を希望する」にあらかじめチェックが付されている方式)は認めらていますが、その場合、その表示が、画面の中で認識しやすいように明示(例えば、全体が白色系の画面であれば、赤字(対面色)で表示)されてかつ最終的な申込みボタンの近くに、そのチェックがあること
【規制対象となるケース】
膨大な画面をスクロールしないと広告メールの送信についての承諾の表示にたどり着けない。
画面の途中に小さい文字で記述されている。
よほど注意しない限り見落としやすい。
というようなケース
■広告メールがそのサイトの業者だけでなく、関連サイトや提携する会社からも送られることを承諾する場合。
【問題ないケース】
あるサイトでの広告の承諾のクリックが、関連するサイトからのメール広告を受けることの承諾にもなる場合は、それが分かり易いように明示(例えば、
全体が白色系の画面であれば、赤字(対面色)で表示)され、かつ、関連サイトのホームページアドレスだけでなく、その関連サイトのカテゴリー情報やサイト名または送信者名を併記するなどして、それらのサイトがどのような内容のものか具体的に分かるように表示されていること
【規制対象となるケース】
その関連サイトが、単に姉妹サイト一覧と表示されているだけであったり、そのURLをクリックしないとどんななサイトかが分からないケース。
そのアドレスから想定される内容が実際の内容と全く異なっており(いわゆるアダルトサイトなど)、表示からは想定されないようなところからの広告メールを承諾したことになってしまうこと
■広告メール受信することになった後で、配信の停止を、広告メール本文の中で表示する場合。
【問題ないケース】
配信を停止するためのメールアドレスやURLを、メール本文の最前部に表示している。
もしくは、メールの末尾に表示している。
メール末尾の場合は、ある程度のスクロール操作で表示され、分かり易く表示してある、というようなケース。
【規制対象になるケース】
膨大な画面をスクロールしないと配信停止の表示にたどり着けない。
文中に紛れ込んでいて見分けがつかない。
よほどの注意を払わない限り、認識できないような表示となっている、ようなケース。
これらの規制の違反があまりにひどい場合は、その業者は、業務の全部または一部が停止となる可能性があります。
よく、ショッピングサイトなどで懸賞に応募したり、ポイント獲得のためのクリックにより、提携サイトの広告を承諾したことになって、膨大な広告メールを受けることになる、ということがあります。
現在のネットショッピングサイトやメールで広告している業者は、早々にその画面やシステムを修正する必要があります。
ウェブ技術者たちは、かなり忙しい日々になるのではないでしょうか。