「新公益法人制度」は、起業家にとっても興味ある制度です
- 2008.11.30 Sunday
- 00:08
2008年12月1日は非営利法人関連法にとって重要な日です。
一つは、1998年12月1日施行の特定非営利活動促進法(いわゆるNPO法)の10周年の日です。
一つは、新公益法人制度が施行される日です。
そして、それによって1986年(明治29年)の民法制定(公益法人制度開始)以来112年、民法で許可制を謳った公益法人の条文がばっさり削除される日なのです。
非営利の突破口が開いたと言えます。
現在の公益法人(社団法人、財団法人)の設立は、所管官庁の“許認可”によるものです。
つまり、それら主務官庁の裁量が大きく関与しています。そして国や地方の公務員が退職後に天下りする温床になってきました。
「平成19年度版 公益法人白書」によると、全国に社団・財団法人は、約2万5千団体ありますが、その中で所管官庁出身の理事は何と2万人を超えています。
それが、今度は“準則主義”になるのです。
準則主義とは、法令に一定の要件を満たせば、官庁の許可を必要とせずに法人を設置できるという考え方です。
株式会社のように登記で社団法人・財団法人が設立できるようになるのです。(正確には、一般社団法人・一般財団法人といいます)
「官」から「民」へ
「天動説」から「地動説」へ
大きな一歩です。
世の中の法人がやっている事業目的には、利潤を追求する株式会社ではなく、広く市民のための公益活動をする事業があります。
例えば、人材育成のための研修会・セミナー・勉強会の開催、その施設の管理や提供、資格試験・検定試験の創設・実施・資格認定、競技会や表彰等々。
その事業活動が非営利目的であれば、その事業における税の優遇措置(非課税)を受けられる可能性があります。
社団や財団法人の代表の呼び名は“理事”になります。
株式会社のような“取締役”とは呼びません。
今、“取締役”はそこらじゅうにいますが、“理事”はほとんどいません。
12月1日からそれが法人の登記でなれるようになったのです。
ちなみに、一般社団・財団法人になったからといって、事業の目的は公益目的である必要はありません。
それは自由です。
それと“非営利”というのは、利益を分配しないということであって、そこで働く社員の給与がないということではありません。
普通に適正な給与をもらうことができます。
さわりだけ書いても、長くなってしまいましたが
要は、法人設立の選択肢が更に広がったということです。
起業家にとっては、その中から、自分のやる事業、事業の目的、目指すもの、運営方法、組織形態、ステータスなど、を総合的に考え、法人を選べばいいのです。
この新公益法人制度には、問題点はいろいろありますが、いずれにしても、起業家にとっては関心が沸く制度であることは確かです。
ご不明なことがあれば当所までお問い合わせください。