選挙チラシの投函者に「住居侵入罪」が確定
- 2009.12.30 Wednesday
- 23:56
2009年8月、自民vs民主の総選挙が行われました。
結果、政権交代がなされた選挙です。
私はある立候補者の選挙活動を手伝っておりました。
(嬉しくもその代議士は当選しました)
ところで、このときの選挙活動にも非常に関係する最高裁の判決が、平成21年11月30日になされました。
以下、事件の概要です。
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住居侵入被告事件
最高裁第二小法廷判決 平成20(あ)13号
政党のビラを配布するために7階建ての分譲マンションの3階から7階までの廊下に立ち入った者が、住居侵入罪に問われた事件
第一審(東京地裁)
ビラ配布については「刑罰を科すほどの行為だとの社会通念が確立 しているとは言えない」として無罪判決
↓
第二審(東京高裁)
第一審判決を破棄し罰金5万円を言い渡した有罪判決
納得できない政党弁護側が上告
↓
最高裁
上告を棄却
高裁判決が確定
最高裁では、「マンションの入り口には、広告の投函を禁じる張り紙が貼られるなどしており、立ち入り行為はマンション管理組合の意思に反するものであって管理権を侵害する」と述べ、「法益侵害の程度も極めて軽微とはいえない」としています。
このマンションは、オートロック方式の玄関ではなく、管理人も常駐しておらず、「立ち入り禁止の張り紙を貼っていた」という点のみで、住居侵入罪が認定されたのです。
弁護側は、「被告人の立ち入り行為を処罰することは、表現の自由に反し、憲法(第21条1項)違反である」とも主張しました。
しかし、これについては「表現の自由も公共の福祉のために必要かつ合理的な制限を受けるのであり、本件では、住民の私生活の平穏が侵害されていること、表現そのものではなく表現の手段を処罰することから、憲法に反しない」と判断されました。
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私自身も選挙支援中に、マンションの各室にビラを投函する際、マンション住民から「立ち入り禁止の張り紙を見なかったのか?」と、咎められました。
戸建てと違って、マンションはチラシ(特にピンクチラシ)の餌食になったため、「チラシやビラの投函禁止」の張り紙や「不審者の立入り禁止」の張り紙がされるようになりました。
“十把一からげ”の考え方は考えものですが、今のご時勢では仕方ないと言うしかありません。
※以下参考
最高裁判例へのリンク
憲法第21条1項
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。