身元保証について

  • 2010.04.11 Sunday
  • 13:35

今日は「身元保証」についてお話します。

企業などに入社する際によく保証人が要求されます。
身元保証は、入社する者が、万一、会社に損害を与えた時にその賠償責任を問うものですが、その人物自体の身元を確認する目的もあります。
企業側は入社者の素性など十分な調査をすることはできないため、何かあたっときのために保証を取っておくものです。
身元保証人には広範な責任を負わせたいとこかもしれませんが、これには注意が必要です。
 

「身元保証に関する法律」(いわゆる身元保証法)という法律があります。 下段条文掲載
この法律では、「身元保証人の保証責任の範囲や限度は合理的な範囲に制限されており、これに反する責任を負わせる契約をしても無効」となっています。
つまり身元保証といっても、その社員が職務と無関係な行為によって会社に損害を与えた場合にまで責任を負わせることはできないのです。
損害が発生した場合でも企業側(使用者)にその社員(被用者)の監督について過失がある場合は、身元保証人の責任が限定されたり、軽減されたり、免責されたりします。
このことが、合理的な範囲に制限されているという意味です。

次のような判例があります。
 

【会社の管理体制、指導監督懈怠を理由とする判例】
・身元保証人の責任が二分の一に
 (東京地裁平成51119日判決))
・身元保証人の責任が免責に
 (仙台高裁平成4417日判決)

では保証の期間はどうなっているのでしょか、入社時に契約をしておけばいいのでしょうか。
身元保証書の中で保証期間を定めなかった場合は、その「契約成立日から3年間」です。

商工業の見習者の場合は「5年」となっています。
会社は商工業ですから5年になるわけですが、この見習者って表現は何でしょう…?

実は、身元保証法は昭和8年の制定という、とても古い法律です。
当時の社会で言う見習者とは、おそらく 丁稚奉公 みたいなことを前提としたのでしょう。

今で言うなら 新しく入社する人 と考えればいいと思います。

それと、保証の期間は5年を超えることはできません。
もし超える内容で記載しても5年に短縮されます。
新たに5年の更新契約をすることはできます。
しかし保証人の契約管理している企業はほとんどないでしょう。
5年もまじめに勤めれば、会社内での社員の能力や適性も分かり、信用や実績もできています。

あとは会社の自己責任で社員を管理するものだからです。

身元保証は企業側にとっては必要でしょう。
でも5年間というのは短いようで長いです。
最近の社会状況では、5年の間に身元保証人が保証できなくなっているかもしれません。

亡くなってしまうかもしれません。

身元保証人になった人(例えば父親)が亡くなっても、保証人の変更手続をしていないのが現実でしょう。
また企業側は、社員の勤務地が変わったり、役職者になって重責になったり、職種が変わったりと、その度に身元保証人に通知する手続もやっていないでしょう。

企業にとっては契約内容や契約期間を管理し追っかけるのはとても面倒なのです。
これもリスクマネジメントの一つでしょうが、カタチばかり観はいがめません。

「とことんやるか」
「どこまでやるか」
「ゆるくやるか」
「そもそもやらないか」

あなた、もしくはあなたの企業はどのようになっていますか?


(参考)条文----------

身元保証に関する法律
公布:昭和8年4月1日
以下、現代語訳

第一条
引受、保証その他どのような名称であっても、期間を定めずに被用者の行為によって使用者の受ける損害を賠償することを約束する身元保証契約は、その成立の日より三年間その効力を有する。但し、商工業見習者の身元保証契約については、これを五年とする。
第二条
1.身元保証契約の期間は、五年を超えることはできない。もしこれより長い期間を定めたときは、これを五年に短縮する。
2.身元保証契約は、これを更新することができる。但し、その期間は、更新のときより五年を超えることはできない。
第三条
使用者は、左の場合においては、遅滞なく身元保証人に通知しなければならない。
1.被用者に業務上不適任または不誠実な事跡があって、このために身元保証人の責任の問題を引き起こすおそれがあることを知ったとき。
2.被用者の任務または任地を変更し、このために身元保証人の責任を加えて重くし、またはその監督を困難にするとき。
第四条
身元保証人は、前条の通知を受けたときは、将来に向けて契約の解除をすることができる。身元保証人自らが、前条第一号及び第二条の事実があることを知ったときも同じである。
第五条
裁判所は、身元保証人の損害賠償の責任及びその金額を定めるとき、被用者の監督に関する使用者の過失の有無、身元保証人が身元保証をするに至った事由及びそれをするときにした注意の程度、被用者の任務または身上の変化その他一切の事情をあれこれ照らし合わせて取捨する。
第六条
本法の規定に反する特約で身元保証人に不利益なものは、すべてこれを無効とする。
附則
本法施行の期日は、勅令(昭和八年勅令二四九号)によってこれを定める。
本法は、本法施行前に成立した身元保証契約にもこれを適用する。但し、存続期間の定めのない契約については、本法施行の日よりこれを起算し、第一条の規定による期間、その効力を有する。存続期間の定めのある契約については、本法施行当事における残存期間を約定期間とする。もし、この期間が五年を超えるときは、これを五年に短縮する。
----------
 

以下、原文
第一条
引受、保証其ノ他名称ノ如何ヲ問ハズ定メズシテ被用者ノ行為ニヨリ使用者ノ受ケタル損害ヲ賠償スルコトヲ約スル身元保証契約ハ其ノ成立ノ日ヨリ三年間其ノ効力ヲ有ス但シ商工業見習者ノ身元保証契約ニ付テハ之ヲ五年トス
第二条
1.身元保証契約ノ期間ハ五年ヲ超ユルコトヲ得ズ若シ之ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ之ヲ五年ニ短縮ス
2.身元保証契約ハ之ヲ更新スルコトヲ得但シ其ノ期間ハ更新ノ時ヨリ五年ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三条
使用者ハ左ノ場合ニ於テハ遅滞ナク身元保証人ニ通知スベシ
1.被用者ニ業務上不適任又ハ不誠実ナル事跡アリテ之ガ為身元保証人ノ責任ヲ惹起スル虞アルコトヲ知リタルトキ
2.被用者ノ任務又ハ任地ヲ変更シ之ガ為身元保証人ノ責任ヲ加重シ又ハ其ノ監督ヲ困難
ナラシムルトキ
第四条
身元保証人前条ノ通知ヲ受ケタルトキハ将来ニ向ケ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得身元保証人自ラ前条第一号及第二条ノ事実アリタルコトヲ知リタルトキ亦同ジ
第五条
裁判所ハ身元保証人ノ損害賠償ノ責任及其ノ金額ヲ定ムルニ付被用者ノ監督ニ関スル使用者ノ過失ノ有無、身元保証人ガ身元保証ヲ為スニ至リタル事由及之ヲ為スニ当リ用ヰタル注意ノ程度、被用者ノ任務又ハ身上ノ変化其ノ他一切ノ事情ヲ斟酌ス
第六条
本法ノ規定ニ反スル特約ニ反スル特約ニシテ身元保証人ニ不利益ナルモノハ総テ之ヲ無効トス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令(昭和八年勅令第二四九条)ヲ以テ之ヲ定ム
本法ハ本法施行前ニ成立シタル身元保証契約ニモ之ヲ適用ス但シ存続期間ノ定ナキ契約ニ付テハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ起算シ第一条ノ規定ニ依ル期間素ノ効力ヲ有ス存続期間ノ定アル契約ニ付テハ本法施行当時ニ於ケル残存期間ヲ約定期間トス若シ此ノ期間ガ五年ヲ超ユルトキハ之ヲ五年ニ短縮ス

以上

個人の法人成りとは −賃貸借契約との関係−

  • 2010.02.13 Saturday
  • 13:21

前回、「自室での営業と賃貸借契約の解除」について書きました。
その中で「ポストに営業名義を表示する」ことも解除の要因にはならない旨書きましたが、少し補足します。

まず最初に

基本的には個人と法人は別人格です。

ポストや表札に法人の名前が記載されている場合、一般的には、その法人が建物を占有していると推定されます。
いわゆる無断転貸の問題となりますので、それが貸主への背信行為と認められれば、賃貸借契約の解除理由となります。

しかし

「個人営業の法人成り」というコトバがあります。

個人営業の法人成りとは、

個人営業をしている者が税金対策などのために会社組織にすること

をいいます。

この場合の建物の解除権については

住居として外形に顕著な変化がない場合、つまり入居者にほとんど変化がなく、建物の使用状況もほとんど前と変わらない場合、賃貸借の解除権は発生しない

と考えられています。

最高裁判例
「個人営業から法人成りすることは無断転貸ではあるが、会社の実権は従前の賃借人が掌握し賃貸建物の使用状況等も個人営業の時と実質的に
変化がない場合は、背信性はなく解除権は発生しない」
昭和
391119日民集1891900

とあります。

もちろん、建物の使用状況の変化や背信性があったかなかったかについては、具体的に検討されて判断がされます。

以上は、個人営業や個人の法人成りについてですが法人が第三者であれば、明らかに無断転貸となります。この場合はちゃんと営業用建物を探して下さい。

アパートの自室で営業したら賃貸借契約は解除されるか

  • 2010.02.11 Thursday
  • 00:03

最近は、副業、Wワークも当たり前になってきました。
特にインターネットを使ったものであれば、仕事場所も自室で十分です。

さて多くの方はアパートなどを借りて暮らしています。

通常、賃貸借契約書で使用目的に『住居として使用すること』などと規定されていますね。

さて、この場合の関係はどうなるでしょうか?

もし、貸主から用法遵守違反として、債務不履行責任を問われて『契約を解除する』と言われたら

まず一呼吸おきましょう。

その商売が

・自室内の一部で営業を行っているだけか

・いわゆる店舗や事務所ではないか

・人の出入りはさほどないか

・風俗営業など風紀上問題のある営業ではないか

・建物に与える影響は少ないか(毀損することもない)

・他の居住者に特別迷惑をかけるようなことはないか

を考えてください。

上記の項目に該当しなければ、貸主は契約を解除できるわけではありません。ポストなどに営業名義が表示されていても同様です。

と言うのも、

貸主が契約を解除するには、契約当事者間の信頼関係が破壊されたといえる程度になったときにはじめて解除ができる

からです。

分かりにくい表現かもしれませんが、つまりお互い信頼して部屋を貸した・借りたわけですが借主のとった行為が、この信頼関係を破るほどのものか
という点がポイントです。
これを「信頼関係破壊の法理」といいます

従って、自室での営業者が、上に挙げた項目に該当しなければ、信頼関係が破壊されたとは言えないため、解除は認められないでしょう。

ただ、何事もコミュニケーションですから、前もって貸主と話しておくに越したことはありませんね。


<補足>
この信頼関係が破壊されたといえるかについてはよく賃料の滞納で問われます。
つまり、「1回でも不払なら契約を解除する」っていうのは信頼関係が破壊されたといえません。
大体、3ヶ月分以上の滞納する場合には、信頼関係は破壊されたものと考えられています。

裁判では様々な事情を総合的に考慮して判断がされます

2
ヶ月分の不払で解除が認められた判例、逆に通算13年間の不払で解除されなかった判例があります。

口約束だけでは絶対ダメです

  • 2009.02.19 Thursday
  • 22:24

弊所で内容証明の依頼をいただくご依頼人の中には訴訟に至るケースもあります。

内容証明のご相談いただく場合は、絶えず、裁判にできるか、勝てる可能性はあるか、を頭におきながら話をすすめています。

もちろん、そこまでの必要がない場合は多いのですが、内容証明を出すからには何らかの権利(請求や要求)を主張するわけで、何とかその意思が通るようにご支援させていただいています。

話を聞く際に、絶えず留意している点は次のようなことです。

1.請求の原因は確かにあるか
  何に基づいて請求するか

2.請求する相手は誰か
  分かっているか、間違っていないか
  その相手で適切か

3.証拠はあるか、証人はいるか、
  どの程度そろっているか
   物的証拠(契約書、注文書、納品書、受領書、
    借用書、覚書、誓約書、メモ、メールなど)
   人的証拠(その事実や経過を知っている関係者、
    契約の立会人、同行人、目撃者など)
  
4.相手の資産・財産は、その状況は
  会社であれば営業状況、噂
  持っている不動産、動産、債権は分かるか
  必要となる場合は、ご本人か、興信所で
   調査することになります
  (裁判所の財産開示手続きはまだ後の話です)

などから、どのように進めて行けばいいかを考えます。

内容証明であれば、先を鑑みてその内容を作ります。
つまり、裁判となれば内容証明が訴状や証拠と合わせて提出される(ことがほとんどです)ので、より留意して作成します。

民事裁判で重要なのは、やはり何と言っても「証拠です。

どんなに自分の主張が真実で正しくても、証拠調べで裁判官が確信をもってくれないと勝つことはできません。
裁判官は、当事者が提出した証拠に基づいて、事実関係を確定し、それに法令や判例を当てはめて結果(判決)を出します。

民事裁判の場合は、当事者が努力して証拠を出さない
限り、裁判所が職権で探したりしてくれることはあり
ません。証拠が勝敗のポイントになる
のです。
ただし証拠力にも強弱があります

日々の社会生活は契約社会です。
どんなささいな行為でも契約で成り立っています。

痛い目にあわないためには、相手とどんなに親しい仲でも、口約束だけはやめましょう。

保証人の夫にきた請求、妻に支払う義務はある?

  • 2008.12.25 Thursday
  • 22:18

こんな事例があります。

夫が連帯保証人
500万円)になっていた友人が行方不明に(多分逃げたと思われる)。
夫に請求がきたが、その夫の会社も倒産。払えない状況。
取立人が来て、パートで働く妻に「夫婦なんだから夫の代わりに払ってくれ」と言われた場合、妻は払う義務はあるのか。

まず結論!

「代わりに払う義務はありません」

債権者と保証契約を結んだのは夫ですので、妻とは一切関係ありません。代わりに払う必要はありません。

(それを知ってる)取立て人は、

「一部だけでもいいですから返済してくれませんか」
「来月の給料が出てからでいいですから」
「夫婦連帯責任ですから、奥さんが払うのは当然
 なんですよ」

とか、いろいろ言ってきます。

これに対して

「分かりました」
「今度給料が出るまで待ってください」
「少しだけなら払えます」

などと言ってはいけません。

こういうことを言うと、保証を追認したことになり保証義務が発生する可能性が発生してしまいます。
繰返しですが、取立人も録音していることもあります。
是非、注意してください。

しかし、
以上はあくまで法的な話です。
夫に債務があることは変わりません。

結局、家庭内で奥さんにもしわ寄せがくるでしょう。
この不況の時代、保証人はなるものではありません。

口約束で引き受けた保証はどうなる?

  • 2008.12.22 Monday
  • 22:11

 

 

口約束でうっかり保証人を引き受けてしまった場合、その人がお金を返済できず、突然、サラ金などから「金を払え」と言われたとき、払わないといけないか?

民法の原則は、契約は当事者の意思が合致すれば成立します。これは、口約束でも同じです。

合意書、覚え書や契約書などの書面がなくても、口約束(例えば録音や証人がいれば、「確実な約束」)であれば約束の義務は果たさないといけない

と言うのが、民法の原則です。

ただし、保証の約束は、ときに予想外に大きな負担をおう可能性があることから、平成16年の「民法改正」(平成1741日施行)で、

「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」

という条文(第446条第2項))が加えられました。

つまり、この日(平成成1741日)を境に、扱いが異なります。

保証人になる口約束が、平成1741日以降であれば「書面がないので、その口約束は効力を生じません」

平成1741日より前であれば「書面がなくても、確実な約束なら効力を生じる」ことになります。

確実な約束については、

裁判で争いになった場合に、その証拠の存在、尋問などで慎重な判断がなされます。

いずれにしても、昔も今も保証人になる場合、慎重に考えないといけません。

中古車購入トラブル ネット購入について

  • 2008.09.26 Friday
  • 10:35

「中古車の購入トラブル」について、連続3回書いてきましたが、第4回目は『ネットでの購入について』触れてみたいと思います。

ネットショッピング

ネット販売上の中古車写真はとにかくいっぱい載っています。
どれもキレイに撮れています。


ただ、見た目の良い写真に安心してはいけません

本来、中古車の場合は現物を見るのが基本です。
遠方の販売店でも、できるだけ直接行って見るべきです。
その交通費を数万円惜しんだばかりに、結果的に後で高いツケを被ることがあります。

行くのがどうしても無理な場合、その販売店がちゃんとしているか、必ず何度か電話で話すことです。
「大丈夫か」だと思ったとしても、『リスクを承知で買う』ことにかわりはありません。

遠方の販売店で購入することになった場合、運送会社がそのクルマを運んでくることがあります。

納車されます

が、

エンジンがかからない!?

運んできた人(運送業者)に文句を言う

が、

「ウチは、運送しただけです」
(運送会社にはクルマの状態など関係ありません)

販売店に連絡する

「ウチに持って来れば、点検します」。。。

誰が販売店まで持って行くのか?
誰がその運送料を負担するのか?

民法第570条の売主の瑕疵担保責任を主張し、解除や損害賠償を求めることも可能ですが、いろいろ困難な状況があります。

このような遠方の販売店から購入する場合は、事前に販売店と細かに対応のケースを「話しておくこと」が必要です。

電話で話すだけではダメです。
書面を残すことです。
メールは後で編集ができるものなので、できればFAXでもいいので書面で残します。
それが無理であれば、販売店との話を録音しておくことをお勧めします。

弊所に相談されるケースで多いのが、
『証拠が無い』ことです。

面倒でも、将来のリスク対策のために証拠を残すようにしてください。

ネットオークション

ネットオークションは、より注意が必要です。

詐欺まがいの輩が横行しています。

出品者が事業者の場合は、そもそも、
店頭に出せないようなクルマだからオークションに出品する
ことがあります。

オークションの場合で相談が多いのが
バイク購入のトラブルです。

「届いたが、動かない」
「名義変更してくれない」

です。

このような相手は、申し込みまでのやり取りに問題があるケースが多く、相手が事業者であれば、消費者契約法、民法で取消を主張します。
相手が個人であれば、民法で詐欺取消や錯誤無効を主張します。

「お金を振り込んだが、モノが届かない」

ということもありますが、これは問題外です。
詐欺そのものです。
住所すらウソだと面倒ですが、実在していれば内容証明により詐欺取消などでの返金を求め、無視された場合は、その内容証明郵便を携えて警察に被害届を出します。

いずれも、面倒な手間・時間がかかります。
精神的にも疲れます。必ず後悔します。

繰返しになりますが、ネットでの購入は、
リスクを前提に、
リスクがあることを承諾し、
できる限り事前の対策を施し、
かつ自己責任を覚悟しておく
ことに尽きます。

(注)
ネットでの中古車販売、ネットオークションが悪いと言っているのではありませんので誤解のないように
 

中古車購入トラブル 購入申込のキャンセルについて

  • 2008.09.22 Monday
  • 10:25

「中古車の購入トラブル」について、今回は『キャンセルについて』、つまり、購入を申込んだあとでキャンセルしたい、というケースについて書いてみます。

中古車購入で、まず重要なことは

契約が成立したか/まだ成立していないか

です。

注文書の裏面などの約款を見て、

契約の成立時期を確認

します。

現金支払の場合で、自販連(※1)や中販連(※2)の約款であれば

1.名義人登録がなされた日
2.改造・架装・修理に着手した日
3.納車(引渡)日

のいずれか早い日で契約が成立します。

※1 社団法人・日本自動車販売協会連合会
※2 社団法人・日本中古自動車販売協会連合会

クレジット支払(割賦購入あっせん契約)で

1.信販会社への申込書面が、日本クレジット産業界の
  
標準約款であれば、  
  →注文後、販売店が購入者に代わって信販会社に
   立替払契約の申込をした時に成立します。
   (立替払が不成立の場合は、売買契約も立替払契約
    も成立しません)

2.自動車販売会社金融会社協議会の標準約款であれば、

  →信販会社が販売店に承認の通知をした時に成立します。
   (立替払契約が不成立の時は、売買契約も成立しません)

よく、申込み後に信販会社から電話での確認がありますが、最悪、この電話で信販会社に断れば、たいてい立替払契約は不成立になるでしょう。

契約が成立前だと確認できれば、あとは、その状況を確認し、販売店にその旨主張します。

仮に販売店からキャンセル料を請求されたとして、万一払う必要が起こってしまった場合でも、

請求は実費分(例えば、車庫証明手続)に限られます

契約が成立してしまった後であれば、販売店と交渉し、合意解除することになります。

法定解除もありますがここでは省略します

販売店がキャンセル料を請求をしてくる場合は、ケースバイケースで判断することになりますが、それが合理的な金額であるかどうかが争点になります。
販売店は納車への手続きを進めていますので、解約を伝えた時期にもよるでしょう。

明らかに不合理な額であれば、

消費者契約法
第9条1項『損害賠償の額を予定する条項の無効』


に該当する可能性があります。

なお、標準約款を使わず、販売店独自の約款を用いる販売店があります。

例えば、

・注文書への署名・捺印したときに契約は成立する
・キャンセルする場合、車両代金の20%のキャンセル料が必要

などです。

この場合、

その時点で契約は成立します

が、

キャンセル料が合理的かどうかが争点であり、上述のとおり、ケースバイケースで、その時点や状況で検討し販売店へ主張することになります。

ちなみに、購入者が未成年であれば、

民法第4条での
契約の取消

を主張すれば販売店はキャンセル料すら請求
できません。

次回は『ネットでの購入について』お話いたします。

中古車購入トラブル 走行キロメーターの巻き戻しについて

  • 2008.09.20 Saturday
  • 10:16

中古車の購入に関するトラブルは、だいぶ減ってはきたものの悪質な販売業者(販売者)もあり、なくなることはありません。

『走行キロメーターの巻き戻し』についてお話します。

中古車販売店に並ぶクルマには「プライスボード」が掲げられています。
価格、年式、走行距離、修復歴など、クルマの情報が表示されています。

前回の『修復歴トラブル』と同様に、クルマに乗っていて、「どうもおかしい、クルマにガタがきている」「ホントに、この走行距離のクルマなのか」と、疑いを持つことがあります。

この場合は、クルマの「走行メーター管理システム」のチェックを受けることをお勧めします。

中古車販売店に並ぶクルマの多くは、中古車オークションで仕入されています。
オークションに出品されたクルマの情報は、日本オートメーション協議会が開発したシステムによりデータベース化されています。

*走行距離チェックの方法については、こちらを参照下さい

出品された際の走行数より、現在チェックした走行キロ数が少なければ、「メーター巻き戻し」や「メーター交換車」の疑いがあります。
また、「走行不明車」で仕入れた車に、「走行キロ車」と掲げて売った場合なども違法です。

このことが確認された場合、これによりそのクルマが気に入らなければ、販売店にキャンセルを申し出ることができます。

この場合に主張できる法的根拠は、いくつかあります。

錯誤無効(民法第95条)による契約の無効主張
 メーター巻き戻しの事実を知っていたら買わなかった

詐欺取消(民法第96条)による契約の取消
 販売店が巻き戻しやメーター交換を知っていながら、
 それを隠して売った

重要事項の不実の告知(消費者契約法第4条)による
 契約の取消
  メーター改ざん車なのに、実際のキロ数として説明
  して販売した

重要事項の不利益事実の不告知(消費者契約法第4条)
 による契約の取消
  メーター改ざん等があるのに、説明しないで販売した

契約自体は、上記の法的根拠から解約を主張します。

さらに、販売店が悪質で許せない場合は

詐欺罪(刑法246条)の刑事告訴・告発 
 →10年以下の懲役

虚偽の表示等(不正競争防止法第2条1項13号)
 での提訴
 →3年以下の懲役または300万円以下の罰金

不当表示の禁止(景品表示法第4条1号)での
 公正取引委員会への申告
 →排除命令、警告

などができます。

販売店によっては、
『ウチも、このクルマがメーター交換車(巻き戻し車)なんて知らなかった』
と言うでしょう。

しかし、この場合でも、購入者にとっては、販売店が「メーターが実際とは違うクルマ」を販売したことに変わりはありません

この場合でも、錯誤無効を主張できます。

(販売店がホントに知らなければ、販売店がそれを仕入れた先に対し、同じように主張すべきなのです)
 *前回の記事に書いた修復歴トラブルと同様です

そのクルマに乗って愛着があるのであれば、解約までしなくとも、その事実を販売店に告げて、今後の点検・サービスなどを交渉してみましょう。

次回は『購入申込のキャンセルについて』お話します。
 

中古車購入トラブル 修復歴について

  • 2008.09.19 Friday
  • 10:04

中古車の購入に関するトラブルは、だいぶ減ってはきたものの悪質な販売業者(販売者)もあり、なくなることはありません。

中古車購入でのトラブル第一位は(約5割)は、『クルマの品質や機能』に係わるものです。
第二位が『契約に関するトラブル(約2割)』、第三位が『キャンセルに関するトラブル(約2割)』と言われています。

そこで『修復歴』のトラブルについて書いてみます。

中古車を購入する際は、クルマの修復歴が気になります。
つまり、「事故車かどうか」です。

中古車販売では、通常前面に『プライスボード』と言われる、そのクルマの情報が掲示されています。価格、年式、走行距離、修復歴など、です。

「修復歴無し」で買ったのに、乗っていてなんか違和感があるというケースがあります。

その場合は、自分で『査定協会』の会員であるクルマ屋さんで査定士のキチットした査定を受けるといいでしょう。
*財団法人日本自動車査定協会

これで白黒がつきますが、留意点があります。

『修復歴』とは、あくまでクルマの骨格部分に問題があるかでの判断ですす。

骨格部分とは、
1.フレーム(サイドバンパー)
2.クロスバンパー
3.フロントインサイドパネル
4.ピラー(フロント、センター、リアー)
5.ダッシュパネル
6.ルーフパネル
7.フロアパネル
8.トランクフロアパネル
9.ラジエターコアサポート です。
詳細は省きますが、クルマの骨格(型枠)自体の部分のことです。

つまり、ボンネットやドアが凹んでいた、キズがあったとか、ライトや電気系統がおかしいとか、ダッシュボードにキズがある、などは『修復歴』にはあたりません。

販売店が「修復歴無し」で売リ、上記の骨格部分に修復歴があり、と見つかった場合にキャンセルを申し出ることができます。

この場合に主張できる法的根拠は、いくつかあります。

錯誤無効(民法第95条)による契約の無効主張
 修復歴があると知っていたら買わなかった

詐欺取消(民法第96条)による契約の取消
 販売店が修復歴があると知っていながら、それを隠して売った

重要事項の不実の告知(消費者契約法第4条)による契約の取消
 修復歴があるのに、無しと説明して販売した

重要事項の不利益事実の不告知(消費者契約法第4条)による契約の取消
 修復歴があるのに、説明しないで販売した

などです。

販売店によっては、
『ウチも、このクルマに修復歴があるなんて知らなかった』
と言うでしょう。

しかし、この場合でも、購入者にとっては、販売店が
「修復歴無し」で販売していたことに変わりはありません

この場合でも、錯誤無効を主張できます。

(販売店がホントに知らなければ、販売店がそれを仕入れた 先に対し、同じように主張すべきなのです)

なお、『修復歴あり』を承知でクルマを買う場合は、どこの部分のどんな修復歴かを詳細に確認(できれば書面で取得)しておくべきです。
ある1箇所の修復歴だと言っておきながら、実は数箇所に及ぶ修復歴があった、ということもあります。

 

次回は、『走行キロメーターの巻き戻し』についてお話します。
 

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行政書士萩本勝紀

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