第三者が内縁を破壊 その第三者に対する責任追及について

  • 2016.01.03 Sunday
  • 18:50


今回は内縁関係が第三者によって破壊・破綻させられた場合、その者に対し責任が追及できるかについてお話しします。

※「内縁とは何か」については内縁と同棲と愛人関係の違いを参照のこと


内縁関係は「準婚関係(婚姻に準ずる関係)」として、本人は一方の当事者(相手)に対してのみならず、第三者に対しても保護されています。

“保護されます”というのは、第三者(例えば相手の親や身内)が内縁関係を破壊した場合、本人は保護され、その第三者に対して責任追及ができるということです。責任追及の方法は多くの場合、慰謝料請求を行うことです。

いくつか判例をご紹介します。


【最高裁.昭和38年2月1日判決】
『内縁の当事者でない者であっても、内縁関係に不当な干渉をしてこれを破たんさせたものは、不法行為者として損害賠償の責任を負う』との判決。


【最高裁.昭和371023日判決】

『内縁関係に不当に干渉し、これを破壊した第三者は、不法行為責任(民法709条)に問われるべきである』との判決。


【大審院.昭和7年10月6日判決】

内縁の夫を殺害した者に対しても損害賠償請求ができる旨の判決。


婚姻届を出していないが夫婦のかたちを備えているのが内縁(事実婚)です。それゆえ多くの判例で第三者の責任を認めているのです。


もちろん必ず責任を追及できるというわけではありません。


そのときの夫婦関係の状況や、第三者の意図や行為の状態など、さまざまな調査のうえで“その裁判や調停を担当した裁判官”が判断することになります

 

婚姻していた男性にだまされ不倫した女性に慰謝料を認めた判例

  • 2014.12.07 Sunday
  • 12:45


少し古いですが、婚姻していた男性に騙されて不倫した女性に慰謝料を認めた判例を紹介します。
 

ここには一般論(不倫をした女性が悪い)例外(その女性だって守られるべき)が存在します。


昭和44年9月26日最高裁判所第二小法廷 判決 損害賠償請求

※以下、判例の文言を入れていますが、分かりやすく編集しました。


異性に接した体験がない女性(19歳)が、まだ若く思慮不十分であることにつけこんで、妻子ある上司の男性が、「妻と離婚して結婚する」と嘘を言って、この言葉を信じた女性と肉体関係を持ち、女性が妊娠。

その後、男性は女性と会うのを避けるようになったが、女性は男性を信じ続けて出産をした。出産した後、男性から連絡を絶たれた、という事案。


●一般論(原則)
 

女性が男性に妻のあることを知りながら、男性と長期間にわたり継続的に、情交関係を結ぶ行為は,一般的にいえば,男性の妻に対する貞操義務違反に加担する違法な行為であるのみならず、男性と共同して、夫婦共同生活を支配する貞潔の倫理にもとる行為に出たことにともなって、民法第90条にいう公序良俗に反するものとの非難を免れない。

女性がこれにより貞操権を侵害され、精神的苦痛を被ることがあっても、その損害の賠償を請求することは、結局自己に存する不法の原因により損害の賠償を請求するものであり、このような請求に対しては,民法第708条本文の規定の類推適用により,法的保護を拒むべきである。

 

つまり、不倫という行為により女性が精神的苦痛を味わったとしても、男性の夫婦生活への不法行為にあたる。これを前提と考えれば、女性は不道徳・不法な者として裁判所の法的保護を与えることはない。

となります。


しかし判決では、この一般原則が妥当することを前提にしつつ、

●例外

 

女性が、情交関係を結んだ当時男性に妻のあることを知っていたとしても、

その情交関係を結んだ動機が主として男性の詐言(嘘・偽り)を信じたことに原因している場合において、男性側の情交関係を結んだ動機、その詐言の内容程度およびその内容についての女性の認識等諸般の事情を考え合わせ、

情交関係に至る責任が主として男性にあり、女性の側における(一般論の)不法の程度に比べて、男性側における違法性が著しく大きいものと評価できるときには、

女性への貞操等の侵害を理由とする、女性の男性に対する慰籍料請求は許容されるべきである


と判断しました。



私は不倫ということは肯定も否定もしません。


なぜなら、夫婦関係、男女の関係…

二人の“こと”は、その二人にしか”分からないこと、だからです。

判例もさまざまです。


このブログでも、紹介していきます。
 


---関係する条文--------------------------------


第90条(公序良俗)
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。


民法第708条(不法原因給付)
不法な原因のために給付をした者は,その給付したものの返還を請求することができない。ただし,不法な原因が受益者についてのみ存したときは,この限りでない。


民法第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。


第710条(財産以外の損害の賠償)
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。



以上
 

別居期間5年で離婚原因となる 民法改正案

  • 2014.11.24 Monday
  • 12:13

現在進められている民法改正の中間報告(平成7年9月発表)では、次の「新しい離婚原因」が追加されています。


「夫婦が5年以上継続して共同生活をしていないこと」です。


外国の法律では、1年、2年、3年など一定期間別居すれば離婚原因として認めていますが、現在の日本では、離婚に至る別居期間の認定は個々の事情で判断されています。

改正案は破たん主義の立場から、夫婦共同生活の不存在を、結婚破棄の客観的かつ典型的なしるしとみて、別居が5年以上継続した場合には、裁判上の離婚原因として認める、というものです。


ただこれには、身勝手な夫(妻)からの離婚請求を容易にし、経済的弱者(例えば責任のない妻、専業主婦、養育中の妻、中高年の配偶者など)を著しく不利にする、との批判がされています。


論議はされており最終的にどうなるか分かりませんが、別居期間の具体的な制定は今や止められない流れか、と感じています。

事実婚のメリット、デメリット

  • 2014.07.25 Friday
  • 00:30


今回は、「事実婚」について考えてみます。


事実婚とは
 

“婚姻届”は出されていないが、実際の夫婦と変わらずに一緒に住んでいる関係


と言えます。よく「内縁の関係」と言われます。

 

“婚姻届”を出せば、法律上の要件を整えたことになり「法律婚」となります。


事実婚は、日本に比べると、欧米、特にスウェーデン、オーストラリア、フランス、フィンランド、オランダでは非常に多い実態があります。

フランスではパックスという契約方式、スウェーデンではサンボという制度もあり、事実婚でも地位が認められ、社会的に公認される制度があるからです。

日本では、正式に結婚(いわゆる法律婚)しないと「やはり地位が不安定だ」、という意識はまだまだあります。

ただ最近では、法律婚にこだわらない女性が増えているように感じます


そこで、事実婚のメリット、デメリットを挙げてみましょう。


事実婚のメリット

・姓を変える必要がない。

 姓を変える多くの手続き・作業が要らない。

・夫の姓に制限されないため、個人の存在感(及びその意識)が確保できる。

・お互いを尊重し合える。

・「嫁(漢字のとおり夫の家に入った女)」としての親戚付きあい、ふるまい、家のしきたりを強要されない。

 「○○家の嫁(婿)」などと言われない。

・精神的な自由さ。ストレスが溜まりにくい。

 妻役/夫役に押し込めらる窮屈さが少ない。

・別れても戸籍に記録が残らない。“バツイチ”にならない。


事実婚のデメリット

・生まれた子は非嫡出子。

 認知しない限り法的な父子関係は成立しない。

・事実婚の夫婦間では相続権がない。※ただし個別の状況による。

・所得税、住民税、相続税における配偶者控除の適用がない。

・社会的に、事実婚=内縁 というマイナスイメージがある。

・世間のマイナスイメージをいつも意識したり、事実婚という状態を都度説明することが、精神的にも時間的にも面倒。

・国際結婚で外国籍の配偶者に在留資格が与えられ、長期滞在が可能なのは法律婚。

 

といったところでしょうか。


これらのメリットやデメリットに対して、


・デメリットは感じない

 

・夫の名字になることは嬉しい

 

あるいは逆に

 

・夫(男)など要らない、子は私ひとりで育てていく

 

・何しろ相手の親戚づきあいが嫌だ、実家が一番

 

といった様々な考え方があります。
 

 

法律婚をしている側が事実婚側を批判する、

あるいはその逆に批判する。


これってまったくナンセンスだと思います。


ひとりの男とひとりの女が同じ時代に生まれ、なんらかの縁で出会い、お互いの考えでいろんなカタチでともに暮らす…

 

単に「事実婚」という生活形態もある、ということだと私は思います。

 


一人ひとり、社会の中で一生懸命生きている。


何が悪いか、良いか、なんて誰も決められない。

 

今この瞬間を生きる、古神道でいう「中今(なかいま)」。


これなんだと思います。

 

 

民法が規定する戸籍上の父か、DNA鑑定の血縁上の父か 平成26年7月17日最高裁判決

  • 2014.07.21 Monday
  • 14:44


子どもの父は
 

戸籍上の父親(法律を優先)か
 

DNA鑑定が証明する父親(生物学上の血縁を優先)か


最高裁まで争われた親子関係の判決が平成26年7月17日下された。

 

判決結果は 「法律上の父子関係を取り消すことはできない」 となった。

 

つまり、「戸籍上(法律)の父親が父親である」だ。

 

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提訴に至る経緯を簡単に記すと、この争いは

平成11年に結婚し10年以上連れ添った妻が突然出産(H21)。
夫が入院中の妻を探し出し誰の子か尋ねると、妻は「2、3回しか会ったことのない男と人」と答える(実際には平成20年から交際を始め性的関係を持つようになった)。
夫は動転しながらも自分の子として育てる決意をし、長女として出生届を提出、自らの子として養育した。

 

しかし翌年(H22)協議離婚、子の親権者は妻とした。
妻は子と、子の血縁上の父と3人で生活をしている。

 

平成23年6月、妻が子を代理し、元夫に対し親子関係不存在の訴えを提訴した。
その際、DNA鑑定により血縁上の父(新しい夫)が99.99%の確率で子の父である証拠を提出した。


そして、子どもの父は


戸籍上の父親(法律を優先)か


DNA鑑定が証明する血縁上の父親(生物学上の血縁を優先)か


が争われたものである。


最高裁第一小法廷判決は、裁判長を含め5人の裁判官で審決される。


民法を優先が 3人

DNA鑑定(生物学的血縁を優先)が 2人

 

という結果である。

 

結果が表すとおり、本当に難しく、賛成・反対は専門家でも分かれ、おそらく世論に聞いても意見は真っ二つに分かれる議論である。

法律を優先した裁判官でも補足意見を述べている。

最高裁の判決文(最下段リンク)を読むと、それぞれの裁判官の意見はどれも一理あるものである。


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私も自分自身、問うてもいずれかの結論は簡単には出ない。
子の利益が優先は最も重要である。
しかし、乳幼児という判断が下せない年齢では、結果的にどちらがいいのか、自身の答えは出せない。

ただやはり、現在の日本社会では 「法律が優先」 と言わざるを得ない。
 

私は仕事柄、これまで1000枚ほど戸籍を見てきた。
明治時代の戸籍は、特に手続きがルーズで、誤りが多いと感じている。
また後になって意図的に変えた形跡も見られる。
誰が父かを不明にすることがある。
当時、仮にDNA鑑定などがあったら、現在に繋がる家系図や相続関係図は違ったものとなるかもしれない。


日本は血縁を重視すると言われるが、猴椹劼鬚箸辰堂箸魴劼”ということを鑑みると、血より家を重視していると感じる。


やはり、いくらDNA鑑定がほぼ100%正確な結果が出る、としても、親子関係の、法的・身分的・生物学的・社会的に、相当な論議を尽くし、立法や行政手続きを作ってからでないと、明治期から続く法律を崩してはいけないと考える。


(参考)
平成24年(受)第1402号 親子関係不存在確認請求事件
平成26年7月17日 第一小法廷判決

 

 

追伸:

しかしこの事案、そもそも婚姻中に他の男性と付き合い子を作った不貞行為はどうなっているのでしょう。

協議離婚が成立した段階で夫婦間では決着していることですが、本質と経過と結果、どれも深く考えさせられる事案です。 萩本勝紀

 

離婚の慰謝料平均額は?

  • 2013.07.10 Wednesday
  • 00:26


離婚の慰謝料について、まず言えることはケースバイケースであるということです。


当事者同士で話し合って折り合いがつくなら金額の多寡は問題ありません。

しかし争いで離婚することも多々あります。

争いがあれば「裁判で決着を。」という手続きに進むわけです。


裁判官は、裁判を通して、“その裁判官自身”の自由裁量によって、公平の観念に従い、諸般の事情をしん酌して慰謝料を算定します。


ここで言う「諸般の事情をしん酌する」とは、


1 苦痛の大きさ・深さ

2 財産状態
3 生活状態
4 職業・社会的地位
5 年齢
6 結婚期間
7 過失、加害者の故意・過失・動機


を裁判官の裁量から算定する、ということです。


また、被害者側(例えば妻側)だけでなく、加害者側(例えば夫側)の事情もしん酌して算定がなされます。


ケースバイケースといっても、統計結果から慰謝料の平均額はあります。


ではどれくらいなのでしょうか。


少し古い資料になりますが、平成10年の裁判所における統計年報があります。
その後、統計結果の発表はありませんが、実務的にその傾向はさほど変わっていないため、平成10年の統計数値は概ね参考になるものです。


平成10年度 慰謝料の平均額 3802000


バブルの余韻も残る平成3年度は、4357000円 と高い数値となりましたが、その後は不景気の波紋もあり減額傾向にあります。


慰謝料の全体平均額は おおむね400万円くらい と言えるでしょう。


なお、慰謝料を婚姻期間の年数別にまとめる(千円単位四捨五入)と次のとおりです。


1
年未満        141万円
1
年以上5年未満     200万円
5
年以上10年未満   304万円
10
年以上15年未満   438万円
15
年以上20年未満   535万円
20
年以上       699万円


婚姻期間が長ければ長いほど慰謝料も大きくなります。


以上のことから、結婚10年程度の平均的生活レベルの夫婦であれば、300400万円で話し合いを始めていくのが平均的と言えるでしょう。


もちろん、慰謝料が高くても低くても、二人で折り合いがつくなら平均額などは気にする必要もありません。


現にゼロ円もあれば数億円もありますから。


内縁と同棲と愛人関係の違い

  • 2013.06.30 Sunday
  • 16:20


 

おとなの男女関係には

 

役所に婚姻届を出している「正式な結婚」のほかに

「内縁」「同棲」「愛人関係」

という実態があります。

 

今回はこの「内縁」「同棲」「愛人関係」について、法律的に考えてみましょう。

 


この3つも大きくは

 

「内縁・同棲」「愛人関係」のふたつに分かれると言えます。


 

まず最初に「愛人関係」についてですが、

 

これは単に男女が相思相愛の仲であるという状態にすぎません。 

 

しかしその関係が、何らかの特殊で契約的なものであれば法律が関与する可能性もあります。

例えば、割り切った「心と身体のサービス」業、的な契約関係もあるでしょう。

いわゆる“愛人契約です”。

定期的あるいは不定期で取り決めた女性の“癒し”に対して、住居や金銭、物品などの対価を提供するものです。

 

ただ通常は、親密な男女関係の延長にすぎません。

したがって次の内縁・同棲のような法律的な保護はありません。

 


では「内縁」「同棲」についてはどうでしょう。

 


「内縁」とは、

 

法律的にみれば、“婚姻の意思”をもって夫婦共同生活を行い、まわりから夫婦と認められているにもかかわらず、婚姻の手続をしていないため、法律的には正式の夫婦と認めらない事実上の夫婦関係をいいます。事実婚とも言われます。

 

この“婚姻の意思”は、内縁が法的な問題に至った際の判定基準として、とても重要なポイントです。

 

内縁関係が法的に保護される要素、つまり“婚姻の意思がある”という認定は

 

・夫婦共同生活の実体
・共同生活の継続性
・性的関係の継続性
・妊娠しているか否か
・家族や第三者(友人、知人、近隣の人など)への紹介の有無や広がり
・見合い、結納、挙式などの婚姻儀礼の有無

 

などから判断されます。

婚姻の儀礼「例えば挙式をあげた。」も一つの要素にすぎません。

内縁は、婚姻届を出していないという点が正式夫婦と違うわけですが、最高裁は「婚姻に準ずる関係」として認めています※昭和33年4月11日判決

 

内縁の妻を保護した例には、


・労災保険関係では、内縁の妻に保険金受領権を認めるケース

・内縁の夫が交通事故で死亡した場合、内縁の妻にも加害者に対する損害賠償請求権を認めるケース

・財産分与を認めるケース…
 

などがあります。

近年、内縁関係の保護は一層強化されつつあります。

 

しかし婚姻の手続をしていないため「正式な夫婦」ではありません。
相続権はなく、また内縁の夫の子の嫡出性はありません。
仮に事実婚の父が出生届を出しても戸籍の父欄は空白となります。

 

相続に関して言えば「(内縁の妻に)財産を贈与する(遺贈)」

 

というような遺言があればよいでしょうが、無ければ「特別縁故者として財産分与の請求」を裁判所に申立するにすぎません。特別縁故者は、相続人がいない(相続人不存在)という裁判所の確定がスタートで、期間も手間もかかり、また、特別縁故者に確実に認定される保障もありません。



では「同棲」についてはどうでしょうか。

 

常識的にみて、同棲とは「男女が事実上一つ屋根の下で生活している関係」と思われますが、一般的に“同棲”というコトバのニュアンスからいえば、「内縁関係にまではいたっていない男女関係の状態」と言えます。

 

ただ同棲と言っても、実質的に夫婦同様の生活をしている場合もあるので、法律的判断の場面では狷皹錣同棲か”という識別は、具体的、事実的、社会的、客観的な状況などから判断されます。

 

単に男女の結びつきにすぎない関係では法律の保護は受けられません。

保護されるのは、内縁のところで書いたとおり「婚姻の意思」と「夫婦としての実態」をそなえていることが必要です。

 

法律的保護としては、

 

“内縁破棄の場合”、破棄による精神的・物質的損害の賠償責任(慰謝料請求)が認められることが多くなっていますが、同棲をやめた場合”のケースで賠償責任を問うには、内縁に比べて実態確認(証明)が強く求められます。

 

というより一般的同棲という概念では損害賠償の請求はできない、と考えるべきでしょう。(もちろん暴力やDVとなると別の話になります)

 



最後に、重婚的内縁について触れておきます。

 

民法第732条に、「配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない」という重婚禁止の条文があります。

内縁が重婚的内縁関係にあたれば内縁自体無効であり、保護されないというものです。

しかし重婚的内縁も具体的状況によっては保護されることがあります。

 

一つ判例をご紹介します。

 

【東京地裁・昭和431210日判決】

本来の妻との婚姻関係が事実上破たんし、離婚と同様な状態になった犖”に内縁関係をもった場合で、相手の重婚を知っていたか、知っていたとしても離婚が近く実現し、犲分が正式な妻になれると信じていた”関係にあっては、法律上の婚姻に準ずる内縁関係の場合に準じて保護される(以下省略)

 

という判決があります。

 

これは、結婚している内縁の夫が交通事故で死亡したケースで、内縁の妻に損害賠償を認めたという判決文の一部です。

 

また重婚的内縁でも、一方的に男性から内縁を解消した場合に、男性に不法行為責任を認めた判決があります。

 

東京地方裁判所昭和62・3・25判決

京都地方裁判所平成4・10・27判決

 

不当な内縁解消という場合には、重婚的であることがあまり問題にはならず、遺棄された女性の保護のために内縁の成立を認める傾向があります。

 

 

婚姻、離婚、別居、内縁、同棲…

 

「男と女の関係」は今に始まったことではありません。

二人の心情は当事者にしか分からないことです。

 

2013年の厚労省の調査では、結婚する約2.8組に1組が離婚しているという実態があります。

「バツいち」「バツに」は今や普通なこと、

男女に関する法的見解は、実態や状況をより取り入れた判断に変化していると感じます。

 

 

男女関係は切なく苦しい場面が起こります。

陽と陰、表と裏、喜と悲、憎と許、楽と悔、疑と信、熱と冷…

 

あなたのことを知った他人は一般的なことを言うかもしれません。

でもそんなことはあなたは分かっていますよね。

二人のことは二人だけにしか分からないこと。

人の心はそんな簡単じゃありません。

 

街にはさまざまな情景があり、心には変化が起こるものです。


ご自身の悩みや苦しみから抜け出せないとき…

 

時の経過は一番のくすりです。

 

出会いは別れのはじまり。

 

でも「今を生きる」。。

 

この連続が人の一生です。

 

年齢を重ねた将来、かならず、、

「若かったな」「そんな経験したな」って思える日が来ます。

 

すべては将来のあなたを作る過程なのです。

 

 

(注)上記文章は行政書士萩本勝紀の私的見解を含みます

 

養育費の現実

  • 2013.06.18 Tuesday
  • 23:53


厚生労働省の全国母子家庭調査(2006年度)によると、養育費の取り決めをしている母子家庭は全体の39という結果です。


ただ「現在も養育費を受けている」という回答はその半分の19にすぎません。


特に近年では養育費の不払いが増加傾向にあります。


「生活もあるし払いたくなくなる」という元夫もいますが、この時代「不況による収入減や失業」が大きく影響しているのは否めません。


養育費の額は元夫の年収によりますが、通常子ども一人あたり月37万円くらいが相場です。


たとえ収入減があったとしても、数万円の養育費をまったく払わななくなるというのは勝手な話です。


口約束や、元夫の念書などの取り決めだけでは、離婚の決め事にはまったく不十分です。


やはり離婚協議書は公正証書にしておくべきです。


公正証書に「強制執行ができる」という強制執行認諾条項を入れておけば、支払が滞った場合、調停や裁判をしなくてもいきなり強制執行ができます。


強制執行を元夫の給料に行う場合、


サラリーマンなら、給与の原則2分の1を上限に差し押さえができ、過去の未払分だけでなく将来分も継続的に会社から払ってもらえます。


養育費の請求は、子どもが未成年の間はいつでもできます。

※財産分与の場合は離婚から2年、慰謝料は離婚から3年で請求ができなくなるので、この点養育費は異なります。


給与の半分が元夫の会社から払われるとなれば、一般的には元夫は会社での評価や立場すら疑われることになり、社内的なメンツもなくなるでしょう。昇進・昇格すら危うくなるかもしれません。


いずれにしても、実際に強制執行とならないまでも公正証書をしっかり作ることが、離婚にあたっての最大のポイントとなります。


不安なことは専門家に相談しましょう。

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最後に、養育費を取り決めなかった理由が上述の2006年調査データにあるので、以下に挙げておきます。

第1位 47.0% 相手に支払い意思や能力がないと思った

第2位 23.7% 相手とかかわりたくない

第3位   9.5% 交渉したがまとまらなかった

第4位   3.4% 交渉がわずらわしい

第5位   2.6% 養育費を請求できるとは思わなかった

その他  13.8%

以上です。

離婚の年金分割とは

  • 2010.05.13 Thursday
  • 13:47

今回は離婚での年金分割について簡単に説明してみます。

年金分割の方法は2種類あります

.平成1941日からスタートした制度「離婚時分割」
.平成2041日からスタートした制度「3号分割」

共通点はありますが、基本的には異なる内容の制度です。

大きな違い

・離婚時分割は平成1941日以前の保険料納付記録も分割対象となる制度です。分割割合は夫婦で(もしくは裁判所が)決めます。
・3号分割の方は、平成2041日以降の婚姻期間(第3号被保険者期間)の年金を分割する制度です。強制的に半分が分割されます。

3号被保険者とは、簡単に言えばサラリーマンの妻で夫の扶養に入っている20歳以上60歳未満の人のことをいいます。ですので、既に60歳を超えている熟年者の場合などは、離婚時分割での分割を考えることになります

もう少し説明を加えます。

.離婚時分割について 

分割の割合(按分割合)は、夫と妻の話し合いで決めます(最大は半分の50%)。
交渉ですから半分以下になることもあります。
話がまとまらなければ、面倒ですが裁判所に調停や審判を申し立て、裁判所に決めてもらいます。
50%と決めても「夫の受給する年金の半分が分割される」わけではありません。
分割の対象となる年金は、厚生年金・共済年金であり(この部分を“2階部分といいます)、国民年金(“1階部分といいます)の部分は分割対象となりません。ですので夫の年金の半分が単純に分割されるわけではないのです。
たとえば、夫が年額180万円の年金(国民年金60万円、厚生年金120万円)を受け取っていた場合、
分割の対象は120万円の厚生年金なので、最大120万円の半分、つまり年額60万円が妻に分割される年金となります。月額でいうと5万円です。
ただしこれも婚姻期間などで金額は変わります。実際には5万円より少ないと思われます
制度のメリットは、国から直接妻の口座に入金されるので、夫が亡くなっても妻が年金を受け取る権利は消滅しません。
ちなみに平成1941日より前は、離婚の際、裁判で分割された年金は元夫から妻に支払われていたので、元夫が死亡したら年金はもらえませんでした。

.3号分割について 

夫の同意がなくても夫の厚生年金は強制的に2分の1が分割されます。
分割後に夫が死亡しても年金を受け取る権利は消滅しない点は離婚時分割と同じです。

年金を分割するための条件

まず、年金分割は自動的にもらえるわけではありません、請求手続が必要です。
全員がもらえるわけではありません、条件があります。
・結婚していた期間中に夫が厚生年金または共済年金に加入している(していた)たこと
・妻は原則として国民年金や厚生年金・共済年金に25年以上加入している(していた)こと
などです。
また、夫が自営業の場合は国民年金ですので、どんなに高収入でも年金分割を請求することはできません。年金分割は、厚生年金・共済年金に加入しているケースに限られます。

以上です。

話を簡単にするため、夫から妻に分割するケースで書きました。
もし妻の方が厚生年金額が多い場合、年金分割は妻から夫にされることになります。
実際の離婚では、年金分割だけでなく、財産分与(状況によっては慰謝料や養育費)など、さまざまな点を総合的に考えないといけません。

一人でお悩みの方は専門家にご相談ください。

離婚を繰り返したら奥さんの姓はどうなるか

  • 2010.05.06 Thursday
  • 13:43

 

今回は何度か離婚した場合の妻側の姓(名字)について、例を挙げて説明します。
特に今回の説明ポイントは赤字の部分です
子供の姓については省きます

初婚時------------------------

鈴木一郎
佐藤恵子 が結婚
 
夫:鈴木一郎
妻:鈴木恵子
 
離婚
 
自動的に旧姓の「佐藤恵子」に戻る
 
鈴木恵子でいたいとき
 
離婚から3ヵ月以内なら「婚氏続称の届出」をする
離婚から3ヵ月過ぎたら「氏の変更許可の申立」をする
届出だけで済むこの3ヵ月という期間は天災事変等があっても延ばされないと考えられています
 
「鈴木恵子」になる
仮に妻側が原因で離婚になり、妻が鈴木姓を名乗ることに夫が大反対しても、鈴木姓にすることは妻の自由です

再婚(パターン1)-----------------

鈴木一郎
佐藤恵子 が結婚
 
夫:鈴木一郎
妻:鈴木恵子
 
離婚
 
自動的に旧姓の「佐藤恵子」に戻る
 
田中弘と再婚
 
夫:田中 弘
妻:田中恵子 となる
 
離婚
 
自動的に旧姓の「佐藤恵子」に戻る
 
田中恵子でいたいとき
 
離婚から3ヵ月以内なら「婚氏続称の届出」をする
離婚から3ヵ月過ぎたら「氏の変更許可の申立」をする
 
「田中恵子」になる

再婚(パターン2)-----------------

鈴木一郎
佐藤恵子 が結婚
 
夫:鈴木一郎
妻:鈴木恵子
 
離婚
 
自動的に旧姓の「佐藤恵子」に戻る
 
鈴木恵子でいたいとき
 
離婚から3ヵ月以内なら「婚氏続称の届出」
離婚から3ヵ月過ぎたら「氏の変更許可の申立」をする
 
「鈴木恵子」になる
 
田中弘と再婚
 
夫:田中 弘
妻:田中恵子 となる
 
離婚
 
自動的にその前の「鈴木恵子」に戻る
 
旧々姓の「佐藤恵子」に戻りたいとき
 
旧々姓の「佐藤恵子」に戻ることはできない
つまり、離婚後にその夫の姓にした場合、その後に再婚して再び離婚したときの選択肢は、どちらかの夫の姓となります。

3度、4度離婚をした場合も考え方は同じです。


夫婦別姓が叫ばれています。
そうなったらまこの手続きも変わることでしょう。
 

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行政書士萩本勝紀

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